樹氷の稲村ヶ岳へ 
稲村ヶ岳(標高172m)
女人禁制の山上ヶ岳の隣に位置する稲村ヶ岳は、女人大峰と言われ
古くから多くの女性に登られてきた。道はよく整備されて歩きやすい。

2007年11月23日(金)〜24日(土) 晴れ 奈良県
メンバー 3人 

のんちゃんのお誘いで、大峰の稲村ヶ岳に山の会のベテランさんと4人で登る予定だった。ところがリーダーののんちゃんが腰を痛め、2日前にドタキャン。3人で行くことになった。
コース:23日 稲村ヶ岳登山口9:40---法力峠11:00---稲村小屋12:30/13:05---稲村ヶ岳13:40---大日山14:05---稲村小屋14:40(泊)

自宅を5時40分出発、6時30分西宮北ICすぐの神鉄たおじ駅でMさんを乗せる。中国、近畿道、第二阪奈道を走って、予定より早く7時半Hさんピックアップ地点の近鉄橿原神宮前駅到着する。 ところが電車到着の45分になっても、Hさんがやってこない。携帯に電話すると、「どこにいるの?」もう着いているらしい。「今西口だから、そっちへ行くわ」と言って切れたが、5分ほど待ってもまだ来い。「東口に来たけど、どこにいるの?」結局車がいるのは中央駅だった。やっと会えたが、Hさんあちこち走り回ってくたくたになっている。みんな始めての駅だったのだが、3つも改札口があるとは想像もしていなかった。
8時には橿原を出て、9時20分洞川温泉に到着です。稲村小屋と同経営の民宿の駐車場に車を置かしてもらう。

稲村ヶ岳登山口

五大松鍾乳洞 なにが見える〜?
駐車場は洞川温泉の端にあり、車道を歩くとすぐ登山口があった。空はどんよりとして寒い。はるか向こうに白く樹氷におおわれた山頂が見える。気温も低く曇っているので、きっと昼過ぎても樹氷がみられるだろう。楽しみだ! 登り始めから法力峠手前まで、杉の植樹帯が続く。

法力峠、ここで衣類調整

木の橋は凍っていて滑りやすい
道はよく整備され、幅もあり傾斜もゆるやかで歩きやすい。法力峠から30分ほど登ると、少しだが雪が積もっている。途中木の橋の上や岩場のところは凍っている

小屋手前30分ぐらいからすっかり冬景色になる

対面の尾根は樹氷で花が咲いてようだ
思ってもいなかった、雪景色と樹氷、木の間から見える尾根は山全体がまるで花が咲いたようだ。3組ほどの日帰りの人たちとすれ違う。軽アイゼンをつけている人もいる。「凍っていて滑りますよ、気をつけて!」と声をかけられる。個人装備に軽アイゼンが書かれていたにもかかわらず、Hさんはアイゼンを忘れてきていた。 2箇所ほど滑りやすい岩場を通過する。「そろそろアイゼンを付けた方がいいかなあ」と思った時、稲村小屋に到着した。樹氷見物しながらの登りだったせいか、意外に早かった。

おっと滑るぞ、気をつけて!

意外に早く稲村小屋
稲村小屋の中で昼食を食べる。小屋のおじさんは、「さっき燃料や食料30kgほど担いで登ってきた。今から水汲みに行く。」「昨日は猛烈な風だったが、今日は青空も広がってきて、最高の樹氷だ。あんたらラッキーだよ。」などなど、気さくにいろいろ話をしてくれる。
まだ1時過ぎ、山頂までは往復1時間半ほどということなので、今日のうちに往復することにする。ザックは置いて行くことにして、カッパの上とスパッツを着け、軽アイゼンを付ける。Mさんは6本歯を持って来ていた。アイゼンを忘れたHさんが、横で恨めしそうに「ちょっと岩場があるし、細引きでも巻いていこうかなあ、お助け紐は持っていこう」なん言ってたら、小屋のおじさんが、「ほんとの軽アイゼンでよければ貸してあげようか?」といってくれた。「3時にはもどって来てくださいよ。」と見送ってくれた。アイゼン付ければ恐いものなしのHさん、どんどん歩いて行く。

小屋の前

天気が回復して、青空に樹氷が映える

樹氷のトンネルが続きます

稲村が岳山頂
軽アイゼンでも有ると無いで途中は大違い、途中2ヶ所ほどクサリ場があるが、楽々クリアー30分ちょいで稲村が岳山頂に着く。展望台の上に立てば360度の展望、樹氷の向こうに連なる大峰の山々が一望だ。山座同定に余念がないお二人、Hさんは5年かけて大峰奥垳道を歩いていて、あと1ヶ所で終わるそうだ。さすがに山の名前をよくご存知だ。

山頂から東の方に大普賢岳

南の方には弥山岳
山頂からの展望をゆっくり楽しんでから来た道を戻りる。クサリ場を過ぎて、キレットまで下ると大日山の分岐の標識がある。そこを左に入り、梯子やクサリのついた岩場をよじ登ると、大日如来を祀る祠のある山頂に着く。
山頂からの展望は木々にさえぎられそれほどでもなかったが、下る時、樹氷におおわれた凍てつく稲村ヶ岳が正面に眺められた。息を呑むほどの迫力だった。

大日山山頂

大日山から見える、凍てつく稲村ヶ岳
2時40分、小屋に戻ってきた。ストーブのある温かい部屋でMさんが持参してくれた銘酒『久保田』を頂く。温かい部屋で飲む、ひや酒のおいしいこと\(^o^)/
今夜の宿泊客は私たち入れて6人だそうだ。まだ着かないとおじさんが心配していた2人が4時半ごろ到着した。若い女性2人で、途中滑りそうになって、時間がかかってしまったらしい。なんと1人は運動靴だった。こんな雪は想像もしてなかったそうだ。
「この辺りは秋山は10月まで、11月になればこんな天気はめずらしくない」と注意を受けた。

稲村小屋の夕食はお鍋、野菜たっぷり
6時から夕食が始まった。
小屋のおじさんも一緒に7人で、お鍋を囲む。味噌味の豚鍋、たっぷりの自家製野菜に名水豆腐、ご飯もふっくらと美味しかった。
食事が終わり、部屋に戻ると達磨ストーブが炊かれていた。燃料がマキでとても温かい。
消燈の8時まで、小屋のおじさんと大峰のいろいろなお話をうかがった。最近は車で来る人のほとんどが日帰りで、小屋に泊る人が少なくなってしまったそうだ。

コース:24日 稲村小屋7:30---法力峠8:30---三ツ塚9:40---観音峰10:15---観音峰展望台10:55/11:20-----観音峰登山口12:25---洞川温泉P 13:30

翌朝6時おじさんが起こしくれる。外にでると、樹氷はすっかり無くなっていた。気温が高かったのだろうか。朝食は、目玉焼きが付いてご飯も具沢山の味噌汁も美味しかった。
ゆっくり目に小屋を出発する。登山道で小屋のおじさんとすれ違う。道の様子を見に行ってくれていたのだ。
「たいして凍ってないから大丈夫だよ」と見送ってくれた。

翌朝小屋の前の樹氷は消えていた

樹氷が落ちて、さくさくの道
一晩で樹氷はまったくなくなり、道の凍結もだいぶ解けていた。1時間ほどで法力峠につく。
ここからは左手の観音峰に向かう。いきなり今回一番の急登だ。


上り下りを繰り返しながら、三つ塚、観音峰とピークを踏んむが、冬枯れの雑木林の中で展望はあまりよくない。数組のハイカーとすれ違う。観音峰から少し下ったところから、木がなくなって、ススキの草原に変わるり、展望台が見えてきた。

ススキの向こうに観音峰展望台

観音峰展望台
展望台からは360度の展望、正面に稲村ヶ岳、八経ヶ岳弥山、天川村はもちろん、奈良盆地まで見渡せます。ここでも山座同定に余念のないお二人です。

稲村ヶ岳:とんがっている山が大日山

ところどころ南朝の歴史が書かれた解説版を読みながら、紅葉の道をのんびり下山する。1時間ほどで観音峰登山口に着くとたくさんの観光客が御手洗渓谷を散策していた。

下山道には名残りの紅葉も

山の中で出会ったワンちゃんが、お茶してます
登山口から遊歩道を1時間ほど歩いて洞川温泉まで戻る。
洞川温泉は旅館が1kmほど軒を連ね、かつては大峰登山の基地としてにぎやかだったころが偲ばれる。
雰囲気のある旅館街をぶらぶら歩いていると、観音峰を歩いていたかわいいワンちゃんが喫茶店で、お父さんとお茶していて、あまりのかわいさに思わずパチリ!
途中、ヨモギパンや名水豆腐を買って駐車場に戻ってきた。 このあと、洞川温泉センターでゆっくり温まり、黒滝茶屋で柿の葉寿司をお土産に買って帰りました。

今回は、樹氷のおおわれた稲村ヶ岳の冬景色と、ススキと紅葉の晩秋の観音峰、そして昔ながらの山小屋、ほんとに盛りだくさんの心に残る山旅だった。
最近は前夜発の日帰り登山が多くなったけど、たまには小屋に泊ってお金を使うことも必要ですね。小屋は山の安全にはかかせないもの、いつまでも維持してもらわねばなりませんからね…


  
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